完璧秘書の可愛い弱点

『ちょっと、柏木君!?いきなりどうしたのよ?』

引きずられるようにして来たのは第一会議室

静まり返る室内で、柏木君は話しはじめた

「...瑠羽先輩、は...社長の事、好きなんですか...?」

『え?...別に...そういうのではないわよ?』

「っなら!僕と付き合ってください!」

驚きで声が出ない、とはこのような状況のことをいうのだろう

目を見開き固まる私に、柏木君は続ける

「瑠羽先輩の事が好きです!初めて会ったときから...一目惚れ、で...」

『...ごめん、ね...柏木君とは、付き合えないわ...』

柏木君は、後輩としか見れない、と付け足す

「...んで...なんで...!?なら、僕がここで...!」

狂気が混じった目線を向けられ、ゾッとする

目の前に居るのは、瑠羽先輩!と駆け寄ってくる可愛らしい後輩ではなかった

...この人は、誰...?

だが、そんなことを考える間もなく、柏木はどんどん近づいてくる

『か、柏木、くっ...!?』

ど、どうしよう、どうしよう...!

強く掴まれた腕が、狂ったような行動と表情が、全てを恐怖に変えていく

『誰かあああああ!うぐっ...!』

叫ぼうと声を出しても手で押さえ付けられて思うようにいかない

でも、こんなところでやられるなんてごめんよ!

逃げなきゃ。どうやって?手は拘束されてるし、足は...拘束...されて、ない

...柏木君、貴方まだまだ甘いわ

私はタイミングを見計らって、柏木君を蹴り上げた

吹っ飛ぶ、というほどでもないけど倒れたから今のうちに逃げましょうか

あ、でもその前に、

『...選ばせてあげるわ。私にこのことを誰かに喋らせてここに居られなくなるか...今全力で謝って私の"ただの"後輩のままでいるか...私としては後者をオススメするわ』

部屋を出る前にそう言うと目を見開いた柏木君

「...優しいんですね」

きっとこんなことをして相手に選択肢を与えたことが、優しいと思ったのだろう

『貴方の想いに気づくことができなかった私はただの残酷な女よ。それに私はそのような関係になる人を選べるような立場じゃないのよ』

「それって...?」

『世の中にはまだ政略結婚という四文字が残っているわ』

「...一般人ではないということですか...?」

『...これ以上言ったら私がここに居られなくなるわ。これ、誰にも言っちゃダメよ?』

私はもう言うことが無くなり、会議室を出ようとすると...

「待ってください!!」

そんな声が聞こえた

「僕はまた、貴女の後輩になれますか?」

『何言ってるの?変更点は一つも無いわよ』

「ありがとうございます!!」