晴ちゃんのお母さんは、千羽鶴を見てびっくりした顔をした。


そして、優しく微笑んだ。




「ええ。ありがとうね、桜ちゃん。」




あたしはそっと、仏壇の横に置いた。




晴ちゃん、あの時のお返しだよ。




晴ちゃんが、天国で元気に過ごせますように。



あたしの…あたしたちの感謝や、大好きって気持ちが、晴ちゃんに届きますように…。




たっくさんの願いをこめて作った。



直接言えなかった分、あふれるくらいの気持ちをそそいで。





そして、あたしは静かに手を合わせた。




しばらくすると、晴ちゃんのお母さんが、あたしの前に1冊のノートを差し出してきた。




ピンクの、どこにでも見るノート。


けど、使い古されたようなかんじ。




「これ…なんですか?」



「これ、晴が入院中に書いていたノートよ。晴が、桜ちゃんに見てほしいって…。
見てくれるかな?」




「あ、はい…」




ゆっくりと、ノートをめくると、そこには、あたしが見ていた晴ちゃんからは想像ができないような、文章が書きつづられていた。