「大丈夫。大丈夫だから...。」
あたしは力なくうなずいた。
けど、大丈夫なんかじゃ...ない。
今度、もし再発しちゃってたら、乗り越えられる自信がない。
無理...もう。
そんなことをぐるぐる考えていたら、看護師さんの声が聞こえてしまった。
「千崎 桜さーん。診察室へどうぞー。」
自分の名前を聞いたとき、ビクッと肩がはねた。
行きたく...ないよ。
「桜?」
翔が立とうとうながすけど、あたしはただ首を振ってばかり。
すると、前から足音が聞こえてきて、消毒液のにおいがふわっと香った。
「さーくら。何してるの?早くおいで?...って。」
うつ向いてるからわかんないけど、この声は亮樹兄ちゃんだ。
亮樹兄ちゃんはしゃがむと、あたしの顔を覗き込んだ。
「桜、泣いてるの?...どうしたの?」
あたしは首を振った。
話したら、もっと泣いちゃいそうで。
「とりあえず、診察室入ろっか。」


