「えっ?でも翔、せっかくのオフなのに...」
翔は優しく笑った。
そして、あたしの腕をつかみ、受付へと歩く。
「別にそんなの気にしなくても...。大丈夫なのに。」
腕を引っ張れるがままに連れていかれ、受付を済ませた。
翔は...なんていうか優しい。
ううん、それだけじゃなくて、あたしのことちゃんと考えてくれてる。
「...ありがとう。」
だから、こんなに信頼できるんだけどね。
悪い予感がして、胸がぎゅっと締め付けられた。
受付を前にして、怖くて言い出せなかったあたしの代わりに、翔が受付をしてくれた。
「ほら、こっち座りな。」
長椅子に座ると、なんだか一年前の記憶がよみがえってくる。
寒くて...怖くて...。
やだ。もう戻りたくないよ...。
入院中の辛い記憶がよみがえってきて、呼吸が乱れる。
自然と涙が出てきた。
そばにいる翔の腕をぎゅっとつかんだ。
すると、翔はあたしの背中をそっとさすった。


