あたしは、乱暴に涙を拭き取って、こぶしを握りしめた。
もう...何が言いたいのかわからない。
情緒不安定、なのかな。
翔は優しくあたしの髪を撫でた。
「大丈夫。まだわかんないんだろ?
それに、少し前治ったばかりだし。桜のからだ、そんなに弱くないの知ってるよ。
だって、あんなに大変な治療を乗り越えれたんだからな。」
そう、なのかな。
けど...。
「うん...ありがと。」
力ない声が出て、ため息がでる。
けど、少しだけ。ほんの少しだけ元気が出た。
翔はあたしの顔を見る。
「とにかく、今は亮樹先生に言われた通り、病院に行くこと。ね?」
「...行くよ。」
「そんで、結果がわかったら電話して?
あ、無理そうならメールでもいいし。」
あたしはもう一度うなずいた。
そうこう話してるうちに、病院の近くまで歩いてきてしまった。
「えっ、ここ家過ぎてるじゃん...翔帰りどうするの?」
翔はあたしの背中を押した。
「付き添いー送ってってやるよ。呼ばれるまで。」


