「...ずるい。」
あたしの出した声は、かすれるような声だった。
「え?」
「ずるいずるいっ!みんなは高校生活楽しんでさ!
あたしなんか...病気のこと、いつまでも考えなきゃいけない...」
目の奥の方がじわっと熱くなった。
やばい、涙でそう...。
「桜...?なにかあったな?」
突然声が変わって、優しい。
あたしはなんか意地をはって首を振った。
「...うそだろ。定期検診でなんか言われたのか?」
それを言われた瞬間、ぽろっと涙が溢れた。
「言われる...かもしれない。病院呼び出された。」
翔は一瞬黙り込み、あたしの手を握った。
「翔...怖い。また、入院っ...」
「大丈夫。大丈夫だよ。」
根拠のない“大丈夫”。
けど、力強くて、優しかった。
「ほんと...?」
「あぁ。」


