「そんな真面目な顔で言うな、バカ。」



そう腕で顔を隠した。

けど、隠そうとしてるその笑顔はバレバレで。


あたしもつい笑った。


「だってほんとだもんー。翔、大好きだよー?」


からかい半分で言うと、翔は突然あたしの手を引くと、あたしの体が翔の肩に寄りかかった。



「…そういう事、平気で人前で言うな。バカ桜。」


な、なによ!さっきからバカバカって!


そう言いながら、2人で笑った。


「…じゃあ、人前じゃなかったら言ってもいいってこと?」



「…」


あたしは翔の肩に寄りかかっていた頭を起こして、
じっと翔を見つめる。


「ねぇー」


「さ、そろそろ部屋戻るぞ。」



いや、無視しないでよ!

照れてるの、バレバレなんだからね!



「そいや、さっき亮樹兄ちゃんから午後に検査あるって言われてたじゃん。」


…ぐ、痛いとこつくじゃないか。


「なんでそういうことだけ覚えてるのよ。」


「そういう事だけじゃねーよ。
俺、バカじゃねーし。」



そう言って、ベンチから立ち上がり、中に入っていった。



うぅーー人の事バカにして!まったく。



あたしも慌てて後を追って中に入った。