「えっ…医者?」



清々しいほど晴天の中、あたしの声が中庭に響く。


あれから数日経ち、今日はだいぶ体調が良い感じということで、中庭に出ることを許された。



そんで、たまたま来てくれた翔とベンチに座ってるわけだけど。



「…あれ?言ってなかったっけ。」


いやいやいや!聞いてない!…はず。


翔が将来医者になりたいだなんて!!


「…ほんとに?」


「もう決心したからな。」



へぇ……へぇ、、

ただ唖然としてるあたし。

いや、医者ってビックリするじゃん?


あたしは手の中にある缶のココアを飲む。


「あぁ…あたしの周りに医者が増えちゃう…」


「そこかよ。」


翔は苦笑いした。


むしろ、そこしかありません。

翔がお医者さんかぁ……へへ、じゃああたしはお医者さんの奥さんになるの?


「…何ニヤけてんだよ、病み上がりめ。」



「病み上がりで何が悪いのよ!

大変だったんだから!点滴やら注射やら!何個やった事か…」


この数日間、地獄だったよ!

熱はなかなか下がらないわ、点滴いっぱい!ほとんど寝たきりで辛かったんだからー…



翔は少し笑うと、言う。


「俺も桜を見て、病気で苦しんでる子を助けてあげたいって思った。

苦しんでる桜を見て、何も出来なかったからさー。だったら、自分で治せるようになりたいって。」



少しだけ照れくさそうに足元の土を蹴りながら言う翔は、なんかかっこよくて。


「ふふ…そうだったんだ。
じゃあ、これからあたしは何があっても平気だー。」



「ん?なんで?」