亮樹兄ちゃんは、首を傾げると、笑って言う。



「そんなこと俺は思わないけどな。

だって桜を病院に連れてきた時、ヒカリちゃん、言ってたもん。桜ちゃんは大丈夫ですかって。

…それに、ヒカリちゃんに寄り添えるのって、境遇が似てる桜くらいだと思うんだよね。」



…そうなの?

そう、なんだ…


「わかった。また、声かけてみるね。」



そう言うと、亮樹兄ちゃんは微笑んだ。


「いつもありがとな、桜。

じゃ、俺戻るな。…あ、そうだ。」


亮樹兄ちゃんは病室の棚の引き出しから、一枚の紙を出した。


「ほい、これ昨日翔が渡してくれたんだ。桜に渡し忘れたーって。
学校の配布物。進路の理系文系選択のやつっぽいよ?桜、もう決めてるの?」



あ…もうそんな時期だっけ…。たしかに高2だもんね。

んーー、まだなにも決めてなかったなぁ…



「とりあえず、悩め。まだ時間あるからさ。」


「はーい」



そう言うと、亮樹兄ちゃんは病室を出て行った。


進路かぁ……