「亮樹兄ちゃん?ヒカリちゃん、どうなったの?ちゃんと無事…?」



亮樹兄ちゃんは微笑むとうなずいた。


「ああ、大丈夫だよ。桜と一緒に連れてきたから、病院にいるよ。」


見つかったんだ…。よかった。

あのまま、もう会えないかと思った。


脳裏にあのカッターを思い出す。



「と、に、か、く!」


亮樹兄ちゃんはあたしのほっぺをギュッとつまんだ。


「ん…いたい。」



「早く治せるように、絶対安静。わかりましたか?」


亮樹兄ちゃん…顔、怖い…


「はぁい…
…怒る?」


「…それは桜が自分でしたことをよーく思い出してごらん?
俺の言ったこと、よーく思い出してごらん?

…わかるでしょ?」



…うぅ、嫌だぁ……


首を振ると、亮樹兄ちゃんはため息をつく。


「ここまでしでかしといて何言ってるの。まったく…

とにかく、今はちゃんと治すこと、いいね?」


厳重に釘をつけられ、テンションだだ下がりなあたし。



んー、元気になったら怒られるの…?

大きなため息が出た。



亮樹兄ちゃんは笑うと、頭を撫でた。



「ちゃんと寝てるんだよ?わかったね?」



「わかってるよ……」



何回言うのってツッコミはやめといて、大人しく横になってることにした。



「あ、そうそう。後で文句言われたら嫌だから言っとくけど。

これ以上上がったら即注射するから。」



そう言うと、病室を出て行った。


……もう嫌だ。


「じゃあね、何かあったら呼ぶのよ?」


そう言って、茜さんも病室を出た。



…これ以上って…肺炎だよ?上がるじゃん…


もう抵抗できる力もなくて、静かに目を閉じた。