〜桜side〜
ピッ ピッ ピッ
規則正しくなる音。息の苦しさと、体のだるさ。
モヤモヤとした視界が、だんだんとはっきりしてくる。
「…あ、桜起きた?」
上から聞こえたのは、聞きなれた茜さんの声。
「無事でよかった…心配したんだからね?
亮樹先生呼ぶわね?」
すると、茜さんは連絡し、あたしに体温計を入れた。
アラームが鳴って取り出し、ディスプレイを見た茜さんは顔をしかめる。
「んー、やっぱり下がらないわね…」
その時、バタバタと足音が聞こえると、亮樹兄ちゃんの姿が見えた。
「桜起きました?」
「あっ、はい!起きました!
…先生、熱なんですけど、38.8あります…」
「あらま…下がらないねぇ。」
38.8…?熱、そんなにあるの…?
そういえば、すごく寒いし、だるいし……
亮樹兄ちゃんはあたしのおでこに手を開けると、苦笑いした。
「桜、気分はどう?」
「ん…最悪。」
「だろうな」
そう笑うと、服をめくりあげ、聴診器を入れてきた。
肌に当たる聴診器が冷たくて、びくっとなる。
冷たい…寒い…
心音を聴きながら、亮樹兄ちゃんは険しい顔をした。
「んー、やっぱね。ねぇ桜。」
「んー…うん…」
聴診器を抜きながら言う。
「桜ね、肺炎になっちゃってるの。今、苦しいでしょ?」
肺炎…?どうして…??
コクっと頷くと、首のリンパをさわられた。
「だからね、これからもっと熱上がると思うし、しんどくなると思うんだ。
だから、どこか苦しいとか痛いところあったら、ちゃんと言うんだよ?」
亮樹兄ちゃんは優しい声でそう言うと、頭を撫でた。
今でも十分苦しいよ…。
「外でちゃって、無理したからね…
しばらく絶対安静だな。」
外…出ちゃった……
「亮樹兄ちゃん……外、出ちゃった…ごめんなさい。」
声がかすれて、思ったように声が出せない。
喉になにかつまってる気がする…
「ヒカリちゃんから少しだけ事情は聞いたけど…
まぁ今はいいよ。治すのが最優先!ちゃんと治ってから、根掘り葉掘り聞くから。」
……病院抜け出すんじゃなかった。
これじゃ、この前の件プラス今回病院抜け出した件で2個も怒られる……
って、…ん?ヒカリちゃん…?