けど、桜はたくさん泣いたのもあって、汗がびっしょりだし、体も熱いし、苦しそう。




「桜?とりあえず、泣き止もっか、ね?」


そう言って、ひたすら背中をポンポンした。


「ん……こわい。」


小さい声でつぶやいた。

「んー?なにが?」


「…びょーいん、戻るの…?」


潤んだ目で見つめてくる。


「んー?そうだよ?桜が逃げ出しちゃったからさー…」


桜はあからさまにしゅんとして、また泣き出した。


「あー、はいはい。泣かないの。後で聞くから、ね。」



こりゃ後で怒る時、先が思いやられるぞ…

思わず苦笑した。




桜はだんだんとウトウトとしてきて、また眠った。



「ふぅ……」


俺はタオルで汗を拭くと、上着をかぶせた。


病院から近くだから、桜をおぶって行く。



…桜、そんなこと思ってるんだな。

桜は優しい子だし、周りのことをいつも考えてる子だから…迷惑かけてるって思うと苦しくなっちゃうんだね。

自分がいない方がって考えになるのは、危ないけど…


桜なりに、ちゃんと考えて、けどそれが自分を追い詰めていって苦しくなったんだね…


これから先、入院のこととかどうするかをきちんと話さなきゃな。

それに、部活を勝手にやったことや約束破ったことは、ちゃんと叱らないと……


今後、繰り返されても、桜が大変なことになるだけだから…


まぁいずれにしろ、桜が元気になってから、だな…




背中から、桜の寝息が聞こえてくる。


「…ふふっ」


俺はいつから桜の親代わりだって自覚するようになったんだっけ…

気づかないうちに、桜は俺にとって本当に大切な子になってたよ。