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「さーくら、桜!」



…ん…なんか聞こえる…

ぼやぼやとした声。


「起きろー、もう昼すぎだぞー」


重たいまぶたをゆっくり開けると、そこには亮樹兄ちゃんがいた。


「起きた?もうお昼ご飯の時間だよ?早く食べな?」



目の前のテーブルに、お粥と野菜スープと、おかずやりんごジュースが並んでた。


…あんまり食欲ないのに。



明け方に亮樹兄ちゃんに泣きついてお話した後、また病室に戻されて寝ていたあたしは、いつの間にかお昼すぎになってたみたい。



「桜、昨日点滴外しただろ。腕、血が出てたし。

また付け直したけど、外すなよ?」



…あ、忘れてた。外してたっけ。

さっきはもう気持ちがぐるぐるしてて、なんにも気づかなかった…


亮樹兄ちゃんは、聴診器をあてて、静かに音を聞き、腕に指を当てて脈をはかる。


「…うん、昨日の夜よりかは落ち着いてるね。
だからって、今日は絶対に無理するなよ?

…それと、昨日の約束、ちゃんと覚えとくこと、いいね?」


あたしをじっと見て釘をさした亮樹兄ちゃん。


「っ…はぁい」


苦笑いした亮樹兄ちゃんは、病室を出て行った。



まだ、体がだるい。胃の中もぐるぐるしてる感じだし…

正直、食欲なんてない。


けど、亮樹兄ちゃんの言ってた約束って、さっき話した時、今回はあたしが亮樹兄ちゃんの言うこと聞かないでやったことだから、って…

・ちゃんと食べて、寝て、無理はしないこと。

・亮樹兄ちゃんの言うことはちゃんと聞くこと。

・罰として、しばらく部活参加禁止。


…を、命じられてしまった。


はぁぁ…、きっと、あたしの体調が治ったら改めてお説教されるんだろうなぁ…


気が重い…