「桜が、優しくて、明るくて、人が困ってたら真っ先に助けてあげて…素直で、いい子だからだよ?

そんな桜だから、みんなが助けてくれるんだよ。
性格悪くて、人に嫌われてる人だったら、周りはそんなことしてくれないよ。

桜が桜だから、みんなは助けてあげたいって思うんだよ。
だから、心配するし、手助けしてあげたいって思う。

それは、俺や茜さんはもちろん、翔や実優ちゃんたちもそうなんだよ、きっと。」


…あたしが、あたしだから?

みんなが助けてくれる…


「だからね、迷惑かけてる、心配かけてるって気づくことは大切なことだよ?

けどね、それをわかってたら、いいの。
桜は、それで悪いなって心の底から思ってるんでしょ?

それは思いやりだよ?だからね、桜がいなくなっていいなんて、誰も望んでないよ?

みんなね、桜が元気になってほしいから、やってることだから。ね?」



そうなの…?そう、なんだ…

なんだか、心の底からほっとして、また涙が溢れる。

みんな、そう思ってくれてるのかな?

…だったら、あたしは…早く治したいな。

早く、元気になりたい…



「もちろん、全員が全員そう思ってるとは限らないよ?中には酷いことを言ってくる人はいるかもしれない。

けど、そんな人、放っておけ。1番桜のことを知ってる、俺や翔たちが大切にしてるんだよ。
桜は大切な存在なんだよ。

…これ、何回か言ったはずなんだけどなぁ…桜はいつ覚えてくれるのかなぁ?」



そう笑いながら言った。

あたしは大きくうなずいた。


「うんっ…わかった…」


亮樹兄ちゃんに強く抱きつくと、亮樹兄ちゃんもあたしをぎゅっとした。




「だから!」


亮樹兄ちゃんはあたしを離して、あたしの頬に両手をあてた。


「桜が危ないことする時は怒るし、行き過ぎたわがまま言ったら注意する。

…わかった?」


「…はい。」



あたしはしゅんとなって、うなずいた。


「ふふ、全く。本当に心配したんだから、この子は…」


そう苦笑いすると、ほっぺをぎゅっとつねられた。




「っ…いたぁい…ごめんなひゃい……」



あたしはしばらく亮樹兄ちゃんに抱きついていた。


不思議と心がほっとしていて、安心感で心臓のドキドキも治まっていた。