あたしはうつむいた。



…心配、かけたくない。




「大丈夫…なんでもないからさ。」








「…大丈夫そうじゃないけどな。

何かあったらちゃんと言えよ?…それと、俺たちを頼れ。甘えろ。」




えっ…?


思わず、顔を上げた。



すると、心配そうな顔であたしを見る翔が見えた。




「迷惑かけるから、とかは考えんな。

俺らは、桜を助けたくてこう言ってるんだから。変な気を使うなよ?」



翔……



「…ありがとね」





それだけ言うと、あたしは教室に向かった。


朝のホームルーム前で、廊下がざわついてる。


そんな雑音も、なんだか遠く見えた。



自分だけ、すこし離れた世界にいるみたいに。




カバンをぎゅっと握りしめる。


大丈夫、今、あたしは学校に来れてるから。



大丈夫……