「…ヒカリちゃんが?」





夕飯の支度中、亮樹兄ちゃんがたずねた。





「うんー…、怒らせちゃったかなって…」





ハンバーグに竹串を刺す。

…うん、焼けてる。



よし!出来たー!


フライパンに乗っているハンバーグを、お皿に移す。




「どーだろうねぇ。

怒ってるってより、びっくりしたんじゃなくて?」



びっくり…?どうして?



亮樹兄ちゃんは、読んでた新聞をたたんだ。




「桜が言った言葉が…

ほら、あの子、色々と事情がある子だからね…」




…事情、ねぇ…。


そういえば佑真先生も言ってたっけな。


なんだろ…気になる…。



聞いていいのかな。


…いや、やめとこうかな…。


あんまりいい気しないよね、他人にそういうの聞かれるのって…





「そ、そうなんだ…、私にはよくわからないけど…。

え、それで、あたし、これからもヒカリちゃんの所行った方がいいの?」