ひとしきり甘えたあと、あたしは亮樹兄ちゃんに聞いた。




「ねぇ…今日、佑真先生にヒカリちゃんのこと言われたんだけど…」




あたしは、リビングに向かう亮樹兄ちゃんに付いていきながら言った。




「あー、そうだった!ヒカリちゃん、目を覚ましたらしいぞ。」





えっ…そうなの?




「おう…佑真から伝言。いつでも来ていいって。」



そ、そうなんだ…。



けど、亮樹兄ちゃんはあたしのほっぺをかるくつねった。




「えっ…いひゃい…なんでぇ……」




「けど!お前はその風邪治すまで当分、ヒカリちゃんに会いに病院行くの禁止な。」





…えっ?な、なんでっ!



やっと亮樹兄ちゃんから開放されたあたしは、ほっぺをさすりながら言う。





「お前、忘れてる感じだけど、まだ退院してから時間がたってないし…。

桜は免疫力が人並みにまだないの。
今はインフルエンザ流行ってるから、病院行って移されても困るだろ?」




うぐっ……。



「今も怪しいし…とりあえず熱出たら速攻病院行きね。」




…はいっ?!



「い、今なんて…」



「ん?だから、熱出た瞬間、病院。」




だ、だって…それは…もうちょい様子みてからでいいじゃん。


一時的ってことも考えられるし、なにより様子見るのも大事…。





「わかったよね?」



あたしの目をじっと見つめる亮樹兄ちゃんが怖くて、あたしはしかたなくうなずいた。




「うぅ…はい…。」