もうすっかり暗くなった廊下を、ダンダンと足を鳴らしながら歩いた。



冷えて、寒いけどそんなの関係なかった。




…なんなの。亮樹兄ちゃんは。





あんなに言わなくたって…。



あたしは、不安だってあったんだよ?前も定期検診で再発がわかったんだから。




今回も怖かった…のに。



なんで不安をあおるようなこと言うの?







しかもっ!なんで、『異常があったら検査入院ね』とか、平然な顔して言えるの!?





あたしは、今回の治療のことがあって、それだけは心臓が…心臓がはち切れるほど怖かったのに。





…なんで、平然としてるの?




亮樹兄ちゃん、あたしのこと心配じゃないのかな…。




もう治ったから、肩の荷がおりたーとか言って、あたしのことべつに気にしなくなったのかな。






「あーっ、もう。」






なんだかムシャクシャする胸を沈めて、息を吐いた。



いいもんね、このまま一人で帰ってやる。






そう病院を出ようとしたら。






「桜ちゃん、桜ちゃん!」






どこかなつかしい明るい声が聞こえてきた。