｢ふふっ……だって、あの時さ、まだ亮樹兄ちゃんのこと…ほんとに信じていいのかって、分からなかったんだもん。｣





｢…知ってる。

わかってたよ。だから言ったじゃん？”ゆっくりでいいよ” って。｣




え……お、覚えてたの？亮樹兄ちゃん！



何食わぬ顔して…ちゃんと、覚えてるんだ。




｢ふふっ…｣



あたしは、勢いよく亮樹兄ちゃんの背中に飛びついた。




｢うおっ……どうしたんだよ、いきなり…。｣





｢んーん。別に…けど。｣



あたしは、亮樹兄ちゃんの腰にぎゅっと、手をまわして。




思いっきり笑った。




｢今はこんなに仲良くなったのにねー！｣





すると、亮樹兄ちゃんも笑った。




｢そーだな。時間って恐ろしいな。

あの頃じゃ、今の光景、絶対に想像できなかっただろうな。｣




｢そうだねっ…ねぇ、亮樹兄ちゃん。｣




｢んー？｣




あたしは、正面から亮樹兄ちゃんに抱きついた。



｢これからも、ずっと一緒にいてね…｣




亮樹兄ちゃんは微笑むと、あたしの頭に手を乗せた。




｢はいはい、わかってるよ。｣