知らない人から声をかけられて、あたしは初めて、出てきた後悔をした。




こわい……こわいよ。




肩が震えて、手冷たい。



あたしはうつむくだけ。


逃げる体力もなかったから…。




すると、男の人はあたしの前にしゃがんだ。




「お父さんとお母さんは?どこにいるの?」





あたしは必死で首を振った。



すると、その男の人の表情がゆるんだ。




「きみのお家まで連れてってあげるから、行こう?」




そう、手を差し伸べた。



あたしは、ただ首を振り続けて、まったく動かなかった。




こわい……。


すると、その人は、ゆっくり、あたしの頭をなでた。




「っ……」




頭から伝わる体温、すごくあったかかった。



「大丈夫だよ。怖くないからね。」




何度も言って、気づけばあたしは顔を上げていた…