あらぬ事が始まり琴乃はどうして良いか分からなかった・・・。
何で彼にこんな事を言われないといけないのかと・・・。

『とにかく、今日は勘弁して。あたし、あなたに執着するつもりもない。むしろ、
止めて欲しいから・・・。もう、声掛けないで。』

『俺は、別にそんなつもりじゃ・・・。』

『じゃあどんなつもり?普通じゃあり得ないから。』

『分かった。でも、これだけは言っておく。俺は、今井さんだから言った。
逃げるならずっと逃げてればいい。ただ、今と何も変らないから。
それだけだよ・・・。』

『・・・・・・。』

『余計なこと言ってごめん、じゃ・・・。』

海斗は、申し訳なさそうに琴乃の前を去った。

琴乃の気持ちとしてはとても複雑でどうして良いか分からなかった。

彼女は、海斗の後ろ姿をずっと見て呟いた。

『人の気持ちにつけこむなよ・・・。』

低いトーンで言いながら彼女の目は冷たかった・・・。

今まで琴乃は、どんなに辛い事があっても他人が自分の心の中に入るようにはさせなかった。

それなのに海斗に無理矢理入られて思い切り心のバランスが崩れて何もかもがメチャクチャになりかけていた。

入学式早々こんなに嫌な思いをしたのは始めてだった・・・。


そんな彼女達とはうらはらに涼、芽衣、武志、純菜もまた賑やかな一波乱が起きようとしていた・・・。