暑くもないし寒くもない、強いて言うなら少し暖かい、で有名⋯⋯な、季節。
入学と卒業のシーズンだ。そんな季節に、とある私立の高校に入学した馬鹿が一人居た。
「え、なにあの人。ヤバくない?眼鏡左右色違うじゃん⋯!」
「確かにぃ!!まじやばいかもぉ!」
「だよねだよね!!話しかけてみる⋯⋯?」
「やめとこぅよ!!ろくな事無いって!!」
と、騒ぎ立てる女子高校生略してJKが数名。その言われている本人がこちらです。
「っくし!!あらら、俺どっかで噂話にされちった?参ったなぁ⋯⋯」
即校則違反と言われるような銀と黒という髪色、左右色の違う眼鏡、なんだカラコンか?と言われかねない黄色と緑の眼球⋯⋯。そう、こいつこそ噂されまくり校則違反しまくりで定評ありそうな主人公らしき人物⋯⋯の筈。
一応で校則違反少年と名付けよう。
▅▅▅
入学式が終わり、クラスメイトの自己紹介が開始した。出席番号順に名前と軽い自己申告。この言い様によっては、その1年間の生活に支障を出すわけだが⋯⋯。
というところでついにこいつの番だ。校則違反少年の番だ。容姿のせいもあってか、周りの視線が集まっている。
「ちゃーっす!!朱峯中卒、雷蒼 凪津でっす★女っぽい名前だけど男なんで、どぞよろしく!!」
ガタンとデカい音を立てながら勢いよく起立そして着席。
居眠りしてた者も驚き目を覚ましガタタと音を立て、教室は一瞬パレード状態になったことに気付いていないのは、それでも寝ている奴らと、この雷蒼だけであろう。
次の者の自己紹介だ。この者がしっかりやればこの場は元通り。前のこいつに釣られて可笑しいものになれば、周りの対応によってこのクラスの今後の在り方が変わる、分岐点のようなものになるのだろう。
「⋯⋯狐火 愛華です。よろしくお願いします。」
なんと言うか、上手くまとまった様だ。クラスメイトもこの自己紹介に心底安心した様だ。
この後の自己紹介は何事も無く最後のものまで続き、何事も無く下校したと思われる。
と、いうことで一日目は終わったのだが、この目線、誰の目線なのかお分かりいただけただろうか。実はこの目線は他の誰でもない私、狐火 愛華の目線なのだ。
今朝から雷蒼を観察していたのは訳あってなのだが、それはまた後日。

4月×日