ある日、夢を見た。
 

 それは見慣れた廊下の風景で、別れた彼が目の前を歩いてきている。

私はいたたまれなくなって、足速にその場から逃げようとした。


顔も見らずに。


横を通り過ぎてほっとした私は、歩くスピードを緩めた。

 しかし、突然後ろからぐいっと手を引かれ、驚いた私は情けない声をだしてしまった。


 「ふぇ?」


 振り返れば彼が真剣な目でこっちを見ていた。

私よりも低かった身長は伸びていて、顔は少し大人びていた。

その事に私は少し動揺した。


 「あのさ、」


 彼が少し俯いて言った


 「お前が良ければ、なんだけど…」


 そう言いつつ顔をあげた彼の顔は少し赤らんでいた。

鼓動が少し跳ねた気がした。


 「その…もう1度付き合いたい…って思ってる」


 その言葉を聞いて私は顔が熱くなっていくのが分かった--