匡side










「別れよう、先生」












一瞬、耳を疑う。











今、なんて?






覗き込んだ竹内の目は赤く腫れていた。







それでも、一生懸命涙をこらえて




「好きじゃなくなっちゃったの、先生のこと。もう他に、好きな人ができちゃったの!」















「…。」







あぁ、そうか俺は所詮彼女に釣り合わなかったのか、





俺じゃ、ダメだったのか。










一気に力が抜けた。








でも、そしたら竹内を危険な目に遭わさなくて済む。






これでよかったんだ。













俺じゃなくても、他の誰かが彼女をきっと笑顔にできる。













俺は、悲しませてばっかりだった











最後まで、笑顔にできなくて、ごめんな













「…そっか、それは良かったな!

今までのことは気にしなくていいから、そんな泣きそうな顔するなよー








お前は笑った方が似合ってるんだから!



















……今度は、幸せにな!」














そう言うと熱い何かがこみ上げてきた。











気づくと物理準備室に戻ってて、








頬にはひとすじの涙が伝った。










あれ、俺、なんで……涙なんか…









男のくせに情けないと思いながらも、心は空っぽになってしまった。









俺の心は、相当竹内でいっぱいだったんだな。











当分、忘れられそうにないよ、