俺は、ついにきてしまったこの瞬間が悔しかった。

「カップルらしいこと……全然できなくて………ごめん。」

「ううん……私は、楽しかったよ……」

「俺も…………」

そう、いくら話さなくとも、2人並んで見上げた花火はとても美しかった。

「じゃあ…」

彼女が離れてゆく。

「大好き」

その言葉を残して、その花火のような笑顔を残して、俺の目の前もぼやけてきて。

その瞬間の花火の咲く音と共に俺の記憶は途絶えた。