奏でるものは 〜功介〜



ん?とテレビを見たまま答えた。


「私達、結婚するの?」

「え?」


ミリの顔を見た。
ミリはテレビを見たまま、俺を見ていなかった。


「私、結婚してもいいわよ。でも……」

「仕事だろ?」


そう彼女の言葉を引き取った俺を見て、寂しそうに笑った。

「それも大事よ。でもね。

……あなたを1番に思えるのか分からないわ」


「………他に、結婚したい奴がいるってことか?」


「もう、結婚できないところに行ったのよ。
だから、一生独身でもいいの。
そう思ってたから、投げやりにお見合いしてたし、あなたの前でも好き勝手に振る舞ってきたの。

見合い話が来なくなって、助かるけど、このまま結婚だと、ちょっとあなたに申し訳なくて。

あなたも、私のことが大好きでもないでしょ?


でも、私は、あなたに少しだけ…………


惹かれてるのよ。

でも、世界一愛してるとは、一生言えないと思うから」