溜まり場に戻っても、それぞれが考え込んでいた。
さっき聞いた話が、頭をぐるぐる回る。
唯歌の指輪、サイタグループ、唯歌とカオリが姉妹、頼斗と従兄弟、唯歌の最期の言葉、日本舞踊、昌の家……
「おい、お前、知ってたのか?」
そう言うと、優と龍が顔を上げた。
一瞬、ギョッとした昌が、らしくなく目線を外して話し出した。
「悪かったよ。
家の絡みで名前は知ってたけど手伝いに行くのも、家元の熊野家だったし、サイタさんの名前は知ってたけど、娘さんには会ったことなくて、唯歌に会っても分からなかった。
唯歌はサイタ家のユイカかもしれないって気付いてたけど確認もしかなったし。
事故の時、どうしようか迷ったよ。
でも、俺から勝手に話すことは、出来なかった。
唯歌が何も言ってないみたいだったから。
歌織のことも知らなかったよ。
熊野って名字であのコンビニの近くが家なら、家元の親戚かな、とは思ってたけど。
日舞の大会の写真を撮った後に、本人に見せて、後を継ぐからよろしくって話をしたんだよ。
功が辛い思いをしてることは分かってたけど、お前の家のことを誰にも話さないのと同じで、唯歌の家のことも誰にも話さなかった。
悪かったな」
昌が最後にもう一度謝った。
「いや、責めるつもりはねぇよ。
お前にとっては唯歌たちも家の仕事の関係者なんだろ?」
まぁな、と昌が苦笑いをした。

