奏でるものは 〜功介〜



カオリちゃんは、俺も龍も名前から家の会社のことを当てた。

唯歌も気付いていたのかもしれないな。



「うちに来て、お仏壇にお線香あげる?」


カオリちゃんが誘ってくれた。


「今日はまだやめておくよ。でも、ありがとう。
またいつか、できれば、な」


今はまだ、サイタ家に行く気にならなかった。

カオリちゃんが指輪を取り出して、俺の目を見て言った。

「この指輪、2つとも私達、唯歌のところに引き取らせてほしい」


唯歌の指輪があることが分かったばかりなのに。


「それは、ちょっと……どうして?」

「姉の元にあった方がいい」


キッパリと言ったカオリちゃんに、何か強い思いがあるらしい。


「考えさせて?」


俯きながら言った。


「今日は指輪2つとも仏壇に供えて、姉の部屋に置いてもいい?」


唯歌のところに、俺の指輪を供えるのか。


「そうしたいのなら、いいよ。

優?歌織ちゃんの連絡先、聞いてもいいか?」

「あ?あぁ、いいんじゃね?」

「ありがとう、歌織ちゃん、聞いてもいい?」


はい、とラインを交換した。