夕日の色

「…あ」


しばらく歩いていると奥原が立ち止まった。


「何?」


あたしが聞くと奥原は前を見つめて「国光さん」と呟いた。


「は…?」


あたしも奥原の見ている方を向くと少し先の曲がり角の手前で委員長が下を向いて立っていた。
あたし達には気付いていない様子だった。


「誰かを待っているんでしょうかね?」


…奥原だよ。
委員長は奥原が好きなんだよ。
あたしよりずっとずっと前から。
委員長、言っちゃおうか?
委員長は奥原が好きだって。
きっと奥原困った顔するよ。
………って何考えんの!
そんな事したらあたし最低な奴じゃん。
でも委員長に奥原を譲りたくない。
そりゃあずっと奥原を見てきてそばにいた委員長からすればあたしはぽっと出の邪魔者かもしれないけど恋するのに今までいた時間とか関係ある?
あたし自身これが恋だってまだ疑ってる所はあるけどそれでも奥原は…委員長には渡せない。