夕日の色

「はぁ…。荻島さん、それは反則ですよ…」


ボソッと何かを呟いた奥原。でもあたしは聞き取れなかった。


「え?何て?」


「な、何でもないです!」


「奥原は分かんないよね。ごめん、変な事言って。…戻ろうか」


あたしがそう言って奥原の横を通り過ぎた時右手を掴まれた。


「わっ…!な、何!」


「ぼ、僕知ってます」


あたしを見上げる形で奥原が言った。


「なぜ心臓がうるさくなるのか、僕知ってます」


「え…!ホントに!?」


あたしは奥原に1歩詰め寄った。
でも奥原は少し頬を赤くして俯いた。


「そ、それは…」