夕日の色

それから家に帰り、玄関のドアを開けると女物の可愛らしいヒールが一足置いてあった。


……あ、咲希さん、来るって言ってたな。


そんな事を思いながらリビングに入ると


「ま〜おちゃ〜ん!」


という声と共に何かがあたしに勢い良く抱きついた。


「さ、咲希さん!」


ふわふわの長い髪に甘い香り、顔を上げたのはぱっちり二重の咲希さん。


「真央ちゃんいないから寂しかったよ〜!」


「真央、友達はもういいのか?」


お兄ちゃんが咲希さんの後ろから聞いてきた。
さっきの会話と委員長の顔が頭の中に浮かぶ。


「う、うん。すぐに終わる用だった」


すると咲希さんがあたしから離れて笑った。