私はとりあえず荻島さんを連れて屋上に出た。
屋上にはベンチがあり、私はいつもそこでお昼を食べている。
そのベンチに荻島さんを座らせて私も座る。


「何で荻島さんが謝るの?」


「あたし、余計な事したから…。ごめん!!
迷惑な事しちゃって!」


あぁ…私とは違う。


「ふふっ…」


「え?」


私は思わず笑ってしまった。


「全然迷惑じゃなかった。正直うんざりしててもう反論する気にもならなかったの。
だからありがとう」


ニコッと笑うと荻島さんはポカンとした顔で目をパチパチさせた。


「あの…荻島さん?大丈夫?」


「ん?え…え?いや…江口さんすごいキレーに笑うから」


「見とれちゃった」と荻島さんは照れ臭そうに言った。


何でこんなに他人思いで純粋なんだろう…。


「あ、さっきの子達のリーダーね、最近江口さんに告白した3年生の事が好きで、ついカッとなっちゃったらしいよ」


「そうだったんだ」


変な世の中だよな、嫉妬心から陰口とか。


「そうだ、江口さんじゃなくていいよ。和花って呼んで」


私が言うと荻島さんはまた目をパチパチさせた。


「い、良いの!?じゃああたしも真央って呼んで!」


「分かった、真央。よろしくね」


「うん!和花よろしく!」