夕日の色

みんなは既に下校していて教室にはあたしと奥原の鞄だけが置いてあった。
あたしは自分の鞄を手に取り、教室を出ようとして足を止めた。


……奥原に持っていってあげるか…


奥原の鞄を掴み、階段を下りる。


「えーと、奥原は確か先生の所に行くんだっけ」


保健室にはあまり行き慣れてないんだよな。
ケガなんてすり傷くらいしかしないし…


そんな事を思いながら保健室のドアに手をかけると中から声が漏れてきた。


「奥原君、体があんまり丈夫じゃないんだから無理しちゃダメよ?ましてや人をおぶるなんて…」


「でも、荻島さんに何かあってからじゃ遅いんです。彼女がケガをしたのは僕のせいですし」


「それでも!お医者様に止められているんだから無理はしない事!何で荻島さんになるとこうなるのかしらね」


先生のため息まじりな声が聞こえる。


「それは…彼女が好きだからです」