海に降る雨

 あたしの代わりに

 空が泣いている

 伝えられない思いなら

 この雨に流してしまおうか



「明日、時間あるか?」


 そう言って電話を掛けてきたのは、小学生の頃からの幼なじみの雅人。


「突然、何?」


 そっけなく返事を返す。


「一人で泣いてるんじゃないかと思ってさ」

「何のことよ」

「彼氏に振られたって噂を聞いてさ」

「誰から聞いたの?」

「それは・・・言えないよ」

「さては陽子ね。まったくしょうがないんだから」


 陽子とはあたしの親友。

 雅人とも仲良くしていて、今は三人とも友人関係。


「やっぱり事実だったんだ」

「もう、雅人には知られたくなかったのになぁ。事実よ」

「そっか。じゃあやっぱり泣いてたりする?」

「そんなわけないでしょ。お互い納得して別れたんだし、振られたわけでもないんだけど」