少しは怒ったか?
怒れ怒れ。

俺から真綾を奪いやがって。
俺の怒りはそんなもんじゃねーんだよ!

けど、目の前の男は涼しい顔をしている。

「大事なのはどれだけ長く共にいたかではなく、どういう時間を共に過ごしたかじゃないですか?

もし、大事なのが長さだとしてもいずれ追い付きますよ。
俺たちには未来がありますから」

あ…。

心のなかの俺が灰と化す。

未来なんて持ち出されたら…。

「ふん!
それでも、俺の幼馴染みってポジションは揺らがないからな!

いつかお前の愚痴だって俺に話してくれるようになるんだよ!
そしたら一緒に悪口言ってやるから!

真綾は俺のことを大事にしてくれてんだろ?」

「え?」

え、じゃねーよ!

「お前がさっき言ったんだろ!
真綾は俺を大事な存在だと思ってるって」

「あぁ。
俺より上にくることはないですけどね」

くっそー!
まじで腹立たしいな、こいつ。

まさか、俺の真綾に対する気持ちを完全に見抜かれている?
これは全部、俺に対する牽制か?