「はやくはやくっ!」


熱いアスファルトの坂をスキップしながら
私、一ノ瀬渚は疲れきった様子の
由梨とヒロちゃんを急かす。


「んな、速く行けるかっつーの!」

「ま、待ってぇ…」


ゼェゼェと肩で息をするふたりを
呆れて見ていると


「おっ先ぃ〜」


ビュンっと私の横を駆け抜けて行った
大好きな人の声。


「みーちゃん!」


悪戯っ子のように笑うコイツは和泉湊。

この三人は私の幼なじみ。

みーちゃんとはずっと前から
付き合っていて、

今も変わらず私の大好きな人。


「ちょっと!私が先だよ!」


うおおおおお!


負けるもんか〜!!


全力疾走で追いかけてみても
急な斜面のせいでだんだん足が
持ち上がらなくなっていき...


「いぇーい!一番〜」

...完敗です。