「でも、さすがだったよね!一瞬の出来事すぎて少女マンガの世界にワープしちゃったかと思った」



瞬きする暇もなかったもん。
気づいたらグイッと腕を引かれて、おでこに柔らかい感覚が降ってきた。


あんな顔で、あんなことされたら、そりゃ〜おモテになるわけだわ。なんて、やけに納得したもん。


「立花くん、やっぱ慣れてるよね〜」なんて軽く笑った私に、藤井の深いため息が聞こえてくる。



『俺……夏乃は危機感なさすぎだって言ってるよな?』

「だから、何に対する危機感?って聞いてるじゃん」

『立花に対しても、神田に対しても!!』

「そうかな?私は平等に接してるつもりだもん。藤井に対しても、立花くんや神田くんに対しても」



変に距離感保ってるよりも、なれることなら仲良くなりたいって思うし。それに、立花くんや神田くんが私に『女』としての興味がないことくらい分かりきった話だし。


立花くんに言わせりゃ『成長しねぇよな、色気も胸も』らしいし。


神田くんには『俺は伊藤よりうめ姐さんがタイプかな』って笑顔でサラッと言われたし。



私としては、心配する要素ゼロ。


むしろもっと周りに女の子として意識してもらえるように努力しないと、この先ずーっと彼氏が出来ないんじゃないかと心配しているくらいだ。