そんなに簡単なことではなかった。

家の周りを週刊誌のマスコミがうろつき始めた。

そして、そのターゲットは母さんだった。

「生野和樹さんとの間に不倫関係があったというのは本当でしょうか。お子さんは生野さんとの間のお子さんですか。」

毎日まいにち母さんはマスコミに追われながら家に帰ってきた。

母さんに話しかけると

「うるさいっ、あんたなんか生まれて来なければ良かったのに。」

そう言われた。

いつもは優しい母をこんなに苦しめる存在は俺。


俺の存在がみんなを不幸にする。


胡桃もそうだ。


俺なんかと一緒にいたらあいつも不幸にしてしまうかもしれない。


でも逢いたい。逢いたいけど・・・


こんな汚れた俺に会う資格なんてない。

俺は胡桃に会わないことを決めた。