「……ったく、」


まだ整わない息を、必死に深呼吸でごまかす。

そしてどこまでもついて来るあいつを、振り返った。


「別に、あんたの為じゃないけどさ」

「……」


いいよ。

今だけ、認めてやる。


「……楽しかった」


運動するのは元々得意だったし。

久しぶりに全力で走って本能がこう思わせてるだけ。


あんたと一緒に頑張って何かを成し遂げたことが楽しかったわけじゃない。


……そんなこと、絶対にない。


ありえない。

ありえないから。


だからさ、そんな顔して笑わないでよ。


くしゃくしゃにして、心底嬉しそうな顔して