私は、猫くんに向かって深々と頭を下げる。


「……はあ」


頭上から、いつものため息が聞こえた。

ああ、今の猫くんにとって、私はうざいものそのものなんだろうなあ。

自分で思って、少し胸がちくちく痛んだ。


「いいからさっさとやるよ」

「え」


顔を上げれば、猫くんが私に向かってバトンを差し出してきていた。


「時間、ないし」

「……猫くん…」

「あんたみたいな、言い出したら聞かないタイプ、マジうざい」

「……うう」

「けど」