「え、ちょ、まだって、え!?」

「ん?」

「え、いつか教えてくれんの? は? 今! 今―!!

ねえ、今じゃなきゃやだ!! 陽愛!! ねえ!!」

「ふふっ、猫君、子供みたい」

「オス猫は子供なんだよ! いいから教えろバカ陽愛」

「それ絶対うそでしょ~!!」


口元を抑えて笑おうとした時だった。

猫君の右手が、私の左手をぎゅっと握ってきた。


「!? ね、ねこく……!?」


かああっと顔の熱が一気に急上昇。

とっさにその手を引っ込めて離そうとするけど、ぎゅっと握られていて逃れることができない。


「もう無理矢理キスしたりしない」

「え」


そっと、隣を見れば。


「……けど、これくらいなら…いい?」


おねだりをするように、少し下を向いて、栗色の大きな瞳だけどこちらに向けて。


「……うん」



とくん、とくん。

恋のリズムで、動き出す。