*時は、数時間前にさかのぼり*


「……っ、」


そっと離れた唇から、さっきまで感じていたぬくもりが一瞬にして消えていく。

なのに、体の熱は増していく一方だった。


「…っ、え、え……!!?」


片手で、自分の唇をおさえた。

今、何した?

何…された………?


「……すごいマヌケな顔だね」


目の前のピンクのピンをしたかわいい男の子は

まるでいたずらっこのような表情を浮かべる。

それこそ、新しく考えたいたずらが見事に大成功して、

嬉しくてしょうがないとでもいった表情。


「びっくりした?」


なにも言えないでいる私の顔をのぞき込んでくる猫くん。


「ふ、」


そして、また微笑んだ。