「待って…待って猫くん…」
廊下を歩き、階段を降り、下駄箱まで腕を捕まれたまま。
私の声も無視して歩き続ける猫くん。
「猫くんってば!」
「うっさいなあ、聞こえてるよ」
なら返事してよ!と突っ込むよりも早く。
「放課後デートでもする?」
なんて不敵に笑って言うものだから、言いたいことも口から出てこずそのまま消化してしまった。
「あ、あの…テリトリーってなんなの…!?意味分かんないんだけど…!!?」
どうしていつも玲央くんが絡むとあんなに険悪なムードなの!?
体育祭で少しは仲良くなったと思ったのに…。
「ああ……誤解しちゃった?」
「え……」
猫くんの手が、そっと私の方へ伸びてくる。
「責任、とらなきゃね?」