客間に案内された瞬間、懐かしさが余計に込み上げてきた。

「紅茶でよろしいですか?珈琲を切らせてしまっているので・・・後は、アルコールしか」

と苦笑いをこぼす彼女に、遠慮なく「ではアルコールを」と注文した。

「そこにある物か、ロゼ、ビールがありますが」

と彼女が指したのは客間のガラスケースに入れられたキラキラ光る黄金色のウイスキー。
これが良いと言うのは図々し過ぎる。でも旨そうだ。

「そちらにしましょうか」

どうやら読まれたらしい。

「今では飲み手もいなくて困っていた所ですし」
「・・・でも」

そう戸惑う俺に彼女は小さく笑いながら「今用意を」と一言発し、出ていった。