外に出て蛍の光を目で追うと、月明かりに照らされたテラスでリクライニングチェアに横たわっている人影がわかった。

寝ているのか。
あんなところで?

家主がいる以上声は掛けておいた方がいい。

近付いて声を掛けようとした瞬間、俺は思わず見入ってしまった。

喪服姿のまま横たわるその姿。
朧気で儚く今にも消えてしまうんじゃないかと思えたその人はそれでもとても綺麗で。

興味か好奇心か、そっとおでこに手を添えて長めの前髪を払ってみる。

月明かりのせいか顔は青白く人の温かみを感じても、生きているのか不安になる。

無意識に手をゆっくり滑らせ、顔の輪郭をなぞり首筋で止まる。

「・・・ねぇ」