「やっぱり何か貰っていいかな?」
「勿論。待ってね」

――――弱い。自分の弱さにため息が出る。

「お待たせ」
「ありがと」
「いいえ」

しばらくしてきた彼女の手元のトレイにはアイスボールやグラスが乗っている。
そして手際よくグラスにピンクの液体が注がれる。
今日はロゼらしい。

「どうぞ」
「ありがと」

自分のグラスを持った彼女が此方に目をやる。

「今日もお祖父様に?」
「・・・今日は俺らに」

掲げたグラスに彼女が自分のを当てる。

「うん。じゃ、私たちに」
「会えて良かった」

波の音の中に静かにグラスの当たる子気味よい音が響き渡る。