「で?今日は?」

先を越され曖昧な返事しか返せない俺に、彼女はどこまでも待つといった風に椅子の背もたれに身体を預け、薄暗い空を仰ぐ。

「君は・・・」

どうしても確信がつけずに言葉を濁すしかなかった。

「・・・冷静に考えれば俺とリキは三回の夏と二回の冬を過ごしたに過ぎないんだ」

彼女の反応を見るが、変わらず空を見てるだけだった。

「それでも俺には大切で、濃い時間だった」

まぁ忘れていたけど、と小さく自嘲気味に話せば彼女の目が空から此方に向く。

「気にする必要ないのに」
「するよ」
「・・・そっか」

気にしないなんて無理だ。
かと言って過去をどうこう言っても仕方ない話なのは重々承知だ。