昼休みも、休憩時間も、なるべくひかるとはづきが2人きりになれる空間を作った。
「あおー、りほ委員会なんだけどちょっと手伝って」
今日も昼休み、そう言ってあおを連れ出す。
毎日色んな理由をつけてそうしていた。
「えーまたー?」
「はやく!」
あおを連れて、走る。
2人の声が聞こえないところまで、ひたすら。
校庭に出て、ブランコに腰をかける。
「お前今日委員会あったんじゃないの?」
あおの質問に、苦笑いしながら答える。
「ごめん、嘘」
「は?なんで?ここ最近、お前様子おかしくね?」
「そんなことないよ。ふつー!めっちゃ元気」
「じゃあなんでそーやって辛そうに笑ってるわけ?」
…あーあ。
あおには叶わないなぁ。
いつも意地悪なくせに、こーゆーときだけ優しくて。
そんなことしてくるの、反則…。
「りほ?」
頬に一筋、涙がつたう。
「え、大丈夫?は?え?オレなんかした?」
あおはあたしの涙を見て、慌てふためく。
違うんだよ、違うの。
そんな意味をこめて、ひたすら顔を横に振った。
「あ、雨…」
あおが呟いた瞬間、いきなり大粒の雨があたしを叩きつける。
周りの人たちは、どんどん校舎に入っていく。
「りほ?雨降ってきたから校舎入ろーぜ」
あたしの涙と雨が混じって、地面に落ちる。
気づいたら、あおに抱きしめられていた。
「これは友達として、慰めてるんだから。とりあえず落ち着くまで泣いてれば?」
「あ、ぁ…っく」
声を押し殺して、雨に打たれながら泣き続けた。
昼休みが終わるまで、ずっと。
それまであおは、ずっと抱きしめてくれていた。
