「りほ早くしろよ」
「ごめん、ちょっと待ってー」
あたしとはづきとひかるとあお。
昼休み、休憩時間。
いつも4人で過ごしていた。
晴れの日は外ではしゃぎまくって、雨の日は中ではしゃぎまくった。
「あそこの4人めっちゃ仲いいよね」
「うん、とくにさ、りほちゃんとひかるくん。両思いでしょ」
11月の半ばごろになると、あることないこと噂された。
「りほとひかるさん、両思いってめっちゃ言われてんじゃん」
はづきは、あたしと2人きりのときによくこの話をする。
「あはは、うん、凄い言われてる、笑」
内心嬉しくて、恥ずかしくて。
くすぐったい気持ちだけど、なにもないように。
当たり障りのない返事をするのが1番いいと…
思っていた。
「りほってひかるさんのこと好きなのー?」
「りほがひかるを?ないない、何言ってんの」
はづきからの質問にも、いつもこう答える。
「はづきがひかるのこと好きなんじゃないのー?」
なんて、冗談めかして言っても。
はづきはありえないよーって笑ってくれると思った。
いつもそうなのに。
この日は違った。
「…うん、私、」
「…」
「ひかるさんのこと、好き。」
なんで、なんで。
ひかるがモテるのは知ってるけど。
なんではづきが…。
「そ、うなんだ」
上手く笑えてるといいな。
「ねぇ、ホントにひかるさんのこと好きじゃないの?」
「ない、よ。ありえないじゃん…」
消え入りそうな声で、あたしはそう呟いた。
