「相変わらずイチャイチャしてんねー」
後ろからあおが声をかけてきた。
「は!?イチャイチャなんかしてないし!何言ってんの」
「あーはいはい、そーですね」
「何その返事!」
あたしは顔が赤くなるのが分かる。
どんどん熱くなっていく。
「りほさんは、ひかるさんのことが好きなの?」
はづきさんが、あたしにしか聞こえないような小さな声で言う。
「な、何言ってんの!ほんとに…好きじゃないよ、、」
「あー、そっかー…じゃああおさんのことは?」
「あお!?あおは絶対ない!!!」
自然と声が大きくなる。
あおが好きとか、絶対無いに決まってる。
さすがに全否定は可哀想かとも思ったけど、あおにはこれくらいが丁度いい。
『おれもお前なんか絶対無いし』
くらいのノリで返してくれると思ったのに。
なのに、あおは…
「あっそ」
それしか言ってくれなかった。
「あー、そーゆーこと?」
隣で1人で納得してるはづきさん。
「え、どーゆーこと…?」
はづきさんはあたしの質問には答えずに、あおに話しかける。
「あおさんも大変だね、お疲れ様です」
「…っ、うるせーよ」
あおはなぜか顔を真っ赤にして下を向いてしまった。
それからなんとなくあおと話しずらくなってしまって、1週間。
小学校最後の夏休みが始まる──。
